2005年 04月 08日
私が出会ったハンサムレディー1(その1) |
その人と初めてお会いしたとき、私はその人のことをてっきり「男」だと思い込んでいたのでした。
これから一緒に仕事をするフリーの編集者として紹介され、「こんにちは。よろしく」というその人の声が、男そのものの、野太い声だったのです。
しかし、しゃべりかたは女性そのものの、優しく、まろやかな印象。差し出された名刺も「○○○子」と、角の取れた、あきらかに女性の名刺です。
「えっ、女の人なの? ウソ」。声には出しませんでしたが、私の心は「?」でいっぱいになってしまいました。○子だと名乗っているのに失礼な話ですが、私はこの人の性別がどちらなのか、はっきりと判断を下すことができずに、打ち合わせも上の空で、その人の姿をチラチラとチェックしてしまったのです。
グラマー、というよりは中年太り風の、「まんまるな」体型。
パンチパーマが伸びきったような、「ラフ」な髪型。
化粧っ気はもちろんなく、親戚のおじさんにちょっと似ています。
そして、なんとうっすらとヒゲの剃り跡があるのです。あの野太い声といい、どう見ても男の人です。
しかし着ているものは、男にしてはフェミニンな感じのセーターと、スパッツ風のパンツに赤いハイヒール(!)。
指には、名前の知らない、大きなブルーの宝石。
背は150センチほどしかなく、男にしてはずいぶん小さい方です。
○子だから......と何度も思い直しても、あの声と鬚がネックになってしまい、「やっぱりこの人は男なのだ」と思ってしまう私なのでした。
もう20年ほど前の話です。編集者になりたての、「アホで、世間知らずで、ノリだけはいい」小僧だった頃(いまもそうだけどさ)の話です。
アホがいろいろと考えた結果、「やっぱりこの人は男なのだ。そう、そっちの(どっちだ)気があって、女みたいな格好して、自分のことを女だと思い込んで○子なんて名乗っているに違いない」という結論を下しました。
まだ「性同一障害」なんて言葉もなかった時代です。
そういえば、打ち合わせの間、その人はずっと私の方をニコニコと、興味いっぱい、という風に見つめています。他人のことを、こんな風にじっとニコニコと見つめるなんて、なかなかできないものです。これは後になってわかる、この人の魅力のひとつなのですが、「おいおい、もう目つけられちゃったのかよ」と、アホは若い子羊みたいなつもりになっていたのでした......。(続く)
これから一緒に仕事をするフリーの編集者として紹介され、「こんにちは。よろしく」というその人の声が、男そのものの、野太い声だったのです。
しかし、しゃべりかたは女性そのものの、優しく、まろやかな印象。差し出された名刺も「○○○子」と、角の取れた、あきらかに女性の名刺です。
「えっ、女の人なの? ウソ」。声には出しませんでしたが、私の心は「?」でいっぱいになってしまいました。○子だと名乗っているのに失礼な話ですが、私はこの人の性別がどちらなのか、はっきりと判断を下すことができずに、打ち合わせも上の空で、その人の姿をチラチラとチェックしてしまったのです。
グラマー、というよりは中年太り風の、「まんまるな」体型。
パンチパーマが伸びきったような、「ラフ」な髪型。
化粧っ気はもちろんなく、親戚のおじさんにちょっと似ています。
そして、なんとうっすらとヒゲの剃り跡があるのです。あの野太い声といい、どう見ても男の人です。
しかし着ているものは、男にしてはフェミニンな感じのセーターと、スパッツ風のパンツに赤いハイヒール(!)。
指には、名前の知らない、大きなブルーの宝石。
背は150センチほどしかなく、男にしてはずいぶん小さい方です。
○子だから......と何度も思い直しても、あの声と鬚がネックになってしまい、「やっぱりこの人は男なのだ」と思ってしまう私なのでした。
もう20年ほど前の話です。編集者になりたての、「アホで、世間知らずで、ノリだけはいい」小僧だった頃(いまもそうだけどさ)の話です。
アホがいろいろと考えた結果、「やっぱりこの人は男なのだ。そう、そっちの(どっちだ)気があって、女みたいな格好して、自分のことを女だと思い込んで○子なんて名乗っているに違いない」という結論を下しました。
まだ「性同一障害」なんて言葉もなかった時代です。
そういえば、打ち合わせの間、その人はずっと私の方をニコニコと、興味いっぱい、という風に見つめています。他人のことを、こんな風にじっとニコニコと見つめるなんて、なかなかできないものです。これは後になってわかる、この人の魅力のひとつなのですが、「おいおい、もう目つけられちゃったのかよ」と、アホは若い子羊みたいなつもりになっていたのでした......。(続く)
by yochy.1962
| 2005-04-08 01:16
| 生活全般