2005年 07月 11日
元アイドル |
元女性アイドルがお酒を飲んでいました。
アイドルといってももう30半ばといったところでしょう。気取りもなく、すんなりと都会の片隅のバーに溶け込んでいるようでした。
元アイドルはもうすぐ舞台の芝居に出るようで、共演する役者さんやスタッフといっしょでした。マネージャーらしき人はいませんでした。アクティブな、というより熱気ムンムン、それでいてちょっと汚れて不幸を背負ったような人たち(相変わらず失礼ですねオレ)の中だから、可憐な美しさがひときわ目立って見えました。やはり相当な美人でした。
元アイドルは煙草を吸っていました。さり気なく、ごく自然に。
周りのお客は、誰も彼女が元アイドルの○○○○さんとは気がつかないようでした。
いや、気がついたとしても、あまり大騒ぎせずに当たり前のように接するのが礼儀だと、暗黙の了解があったのかもしれません。
オレもなるべくそ知らぬ顔をしようと思っていたのですが、彼女は、バーのコの字型になっているカウンターの端に座っていて、オレは反対側の端に座っていたので、真正面に彼女の姿があるのです。どうしても彼女の姿を目で追ってしまい、ときどき目が合ってすぐに目をそらしたりして、「うるさいヤツだな」なんて思われていたのかもしれませんが。
元アイドルたちが店を出ていくときに、オレは勇気を振り絞って、こっそりと手を差し出し、「頑張ってください」と声をかけました。
元アイドルはちょっとびっくりした様子でしたが、すぐに「ありがとうございます」とにっこり微笑み、握手に応じてくれました。
誰からも強制されたスマイルではなく、その人の本心から出て来る、素敵な笑顔のような気がしました。
スターになるにはものすごい競争率で、それでいてつぎからつぎへと変化していく芸能界の中にあって、私が出会った元アイドルは、あまりぱっとせずにアイドル界からは消えていったような気がします。
売れてなんぼ、の世界ですから、彼女はあまりラッキーではなかったのかもしれません。でも、「人」としての幸せを考えたとき、果たして名声とは、幸せのどのくらいに位置しているのだろう、まあ人によってどれを幸せと感じるのはそれぞれだと思いますが、あまり幸せそうでない大スターを見たりすると、そんなことを思ったりします。
第一線でなくても芸能界に踏ん張って、誰からも声をかけられなくても、好きな芝居を仕事に持って、役者仲間と酒を飲んで、演劇論をたたかわすことができる毎日。自分の好きなことができる幸せを、彼女はいま感じているのかもしれません。
※さてさて、明日から韓国出張でございます。軍手を買うのを忘れた!(どんな出張?)ではまた。
アイドルといってももう30半ばといったところでしょう。気取りもなく、すんなりと都会の片隅のバーに溶け込んでいるようでした。
元アイドルはもうすぐ舞台の芝居に出るようで、共演する役者さんやスタッフといっしょでした。マネージャーらしき人はいませんでした。アクティブな、というより熱気ムンムン、それでいてちょっと汚れて不幸を背負ったような人たち(相変わらず失礼ですねオレ)の中だから、可憐な美しさがひときわ目立って見えました。やはり相当な美人でした。
元アイドルは煙草を吸っていました。さり気なく、ごく自然に。
周りのお客は、誰も彼女が元アイドルの○○○○さんとは気がつかないようでした。
いや、気がついたとしても、あまり大騒ぎせずに当たり前のように接するのが礼儀だと、暗黙の了解があったのかもしれません。
オレもなるべくそ知らぬ顔をしようと思っていたのですが、彼女は、バーのコの字型になっているカウンターの端に座っていて、オレは反対側の端に座っていたので、真正面に彼女の姿があるのです。どうしても彼女の姿を目で追ってしまい、ときどき目が合ってすぐに目をそらしたりして、「うるさいヤツだな」なんて思われていたのかもしれませんが。
元アイドルたちが店を出ていくときに、オレは勇気を振り絞って、こっそりと手を差し出し、「頑張ってください」と声をかけました。
元アイドルはちょっとびっくりした様子でしたが、すぐに「ありがとうございます」とにっこり微笑み、握手に応じてくれました。
誰からも強制されたスマイルではなく、その人の本心から出て来る、素敵な笑顔のような気がしました。
スターになるにはものすごい競争率で、それでいてつぎからつぎへと変化していく芸能界の中にあって、私が出会った元アイドルは、あまりぱっとせずにアイドル界からは消えていったような気がします。
売れてなんぼ、の世界ですから、彼女はあまりラッキーではなかったのかもしれません。でも、「人」としての幸せを考えたとき、果たして名声とは、幸せのどのくらいに位置しているのだろう、まあ人によってどれを幸せと感じるのはそれぞれだと思いますが、あまり幸せそうでない大スターを見たりすると、そんなことを思ったりします。
第一線でなくても芸能界に踏ん張って、誰からも声をかけられなくても、好きな芝居を仕事に持って、役者仲間と酒を飲んで、演劇論をたたかわすことができる毎日。自分の好きなことができる幸せを、彼女はいま感じているのかもしれません。
※さてさて、明日から韓国出張でございます。軍手を買うのを忘れた!(どんな出張?)ではまた。
by yochy.1962
| 2005-07-11 00:58
| 酒